今回は
重曹がなぜ掃除に使えるのか、重曹の性質を化学的に説明します。
重曹はナチュラルクリーニング洗剤の代表格。しかし実は、重曹は意外と万能なものではありません。
効果的に重曹を使うため、まずはその性質を知っておきましょう!
- 重曹の性質を知りたい
- 重曹が掃除でどのように使えるのかざっくりと知りたい
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重曹は炭酸水素ナトリウムの略称
重曹の正式名称は「炭酸水素ナトリウム」。
中学生のとき習った化学式であらわすと「NaHCO3」。
ナトリウム(Na)、水素(H)、炭素(C)、酸素(O)で構成されています。
ではなぜ炭酸水素ナトリウムが重曹と呼ばれかというと、、、
炭酸水素ナトリウムは、別名「重炭酸ソーダ」といいます。このソーダは漢字で書くと曹達です。
これを略して重曹となったのです。
その他にも、重炭酸ナトリウムやベーキングソーダという呼び名もあります。
いろんな言い方があって混乱しそうですが、これらはすべて同じもの。
重曹=炭酸水素ナトリウム=重炭酸ソーダ=重炭酸ナトリウム=ベーキングソーダということです。
重曹は料理や医薬品にも使われる
重曹は料理や医薬品にも使われます。
例えば、パンやお菓子を作るときに使うベーキングパウダー。これには重曹が含まれています。
重曹は加熱されると二酸化炭素が発生するのですが、この二酸化炭素がパンやお菓子の生地を膨らますのです。
医薬品だと、胃薬に重曹は使われています。
重曹は酸性を中和する性質があるので、胃酸を中和して症状を和らげてくれるんですね
重曹は弱アルカリ性
重曹の性質は弱アルカリ性。
アルカリ性や酸性という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、そのアルカリ性です。
ある物質がアルカリ性か酸性かは、「物質が水に溶けた状態における、水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)のバランス」で決まります。
水素イオンが多ければ酸性、水酸化物イオンが多ければアルカリ性です。
アルカリ性や酸性の濃度は、pH(ピーエイチまたはペーハー)という指標で表されます。
pHの値が小さいほど酸性が強く、逆にpHの値が大きいほどアルカリ性が強くなっていきます。
水素イオンと水酸化物イオンのバランスは変動するので、pHの値は絶対的なものではありませんが、参考までに身近な酸性とアルカリ性の物質を図で表しました。
重曹のpHは大体8~9。7が中性なので、そこまでアルカリ性は強くないんですね。
ちなみに教科書的には、アルカリ性より塩基性と言ったほうが正しい言い方です。
塩基性は、アルカリ性より広い概念をもった言い方。
しかしアルカリ性の方が一般的に使われており理解しやすいため、アルカリ性で全く問題ありません。
重曹は酸性の汚れを中和する
それでは、なぜ重曹が掃除に使えるのでしょうか。
それは、酸性の汚れである油汚れや皮脂汚れを、アルカリ性である重曹が中和するからです。
汚れを中和して落としやすくしてくれるんですね。
代表的な酸性汚れは次のようなものがあります。
- キッチンの油汚れ
- 排水口のぬめり
- タバコのヤニ汚れ
- お風呂やリビングの皮脂汚れ
- 湯あか
これら以外にも他にも、家庭の汚れの多くは酸性の汚れに該当するので、重曹が役立つというわけなんですね。
実際に重曹を掃除で使う方法は、次の記事で詳しく解説しています。
重曹は万能洗剤ではない
重曹は酸性の汚れに効果があります。
とはいえ、すべての酸性汚れが重曹で落ちるわけではありません。
なぜなら、中和反応で落ちる酸性汚れは、皮脂汚れのような軽いものに限られるからです。
時間が経過したキッチンの油汚れのようなガンコなものは、重曹のような弱いアルカリ性では落としづらいのが事実。
そのような場合には、重曹より強めの洗剤を使う必要があります。
つまり、重曹はそこまで万能な洗剤ではないということ。
しかしこれを理解しておけば、「日常的な掃除は重曹で、ガンコな油汚れなどは強めの洗剤で」といった使い分けができるようになります。
いずれにせよ、重曹が家庭のお掃除に役立つことは間違いないので、ナチュラルクリーニングに興味がある方はぜひ実践してみてくださいね。
→ 重曹が汚れを落とす仕組みを、さらに詳しく解説しています。
まとめ
重曹の性質を知れば、より効果的に家庭のお掃除で使うことができます。
ぜひ参考にしてみてください!
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次の記事も役に立つので、ぜひ1度見てみてください。
→ 重曹をお湯で溶かすとアルカリ度が上がる。最適な温度のお湯のつくり方。