界面活性剤が汚れを落とす仕組みを図を使って分かりやすく解説!

ほとんどの洗剤には界面活性剤という成分が入っています。この界面活性剤が汚れを落とす役割を担っているのですが、どのような仕組みで汚れを落としているのでしょうか。

そこで今回は、界面活性剤が汚れを落とす仕組みを図を使って解説したいと思います。

仕組みを知っていると、普段のお掃除も少し楽しくなるかもしれませんよ。ぜひ読んでみてください。

スポンサーリンク

界面活性剤とは何か

界面活性剤は、汚れにくっついて、その汚れを水と一緒に流してくれます。

なぜこのようなことができるのか、まずは界面活性剤という物質の構造をみていきましょう。

界面活性剤の構造

界面活性剤とは、界面に独特の性質を与える分子のことをいいます。

界面は表面とだいたい同じ意味です。例えばコップに入った水をイメージしてみてください。そのコップに入った水と空気の境目(表面)のことを界面といいます。表面張力ってどこかで聞いたことあると思いますが、異なる物質(この場合は、水と空気)が接している部分のことを界面といいます。

界面活性剤の定義はそこまで重要ではないので、「界面に何らかの変化を与えるもののことを、界面活性剤て言うんだね。」くらいの理解で大丈夫です。

 

それでは今から、図を使って界面活性剤の構造を分かりやすく解説していきます。

例えば水に界面活性剤を入れると、界面を図のような状態にします。

界面活性剤

界面活性剤が、水面に膜をはるように並んでいますね。この膜を分子膜といいます。

なぜ界面活性剤が分子膜をはるのかというと、界面活性剤が両親媒性分子だからです。また難しい言葉が出てきました。では両親媒性分子とは何なのでしょうか。

親水性と疎水性

分子は、「水に溶けやすい」もしくは「水に溶けにくい」どちらかの性質を持っています。

水に溶けやすい性質を親水性、溶けにくい性質を疎水性(そすいせい)といいます。疎水性を持つ分子は、油に溶けやすいことが多いです。

  • 水に溶けやすい分子 → 親水性
  • 水に溶けにくい分子 → 疎水性 ※疎水性は油に溶けやすい

 

分子は親水性か疎水性どちらかの性質のみを持っていることが多いですが、中にはどちらの性質も持つ分子があります。

このように、親水性と疎水性どちらの性質も持つ分子を「両親媒性分子」といいます。水と油、両方の溶媒に親しむ性質を持つ分子ということです。

両親媒性分子は、次の図のように表わすことができます。

界面活性剤②

緑色の円が親水性の部分で、黄色い線が疎水性の部分です。

親水性の部分は水に溶け、疎水性の部分は水に溶けずに水から離れようとします。

その結果1つ目の図のように、界面活性剤が逆立ちして水面をおおい、分子膜を作るというわけです。

 

界面活性剤の構造はだいたい分かりましたでしょうか。では次から、界面活性剤が汚れを落とす仕組みについて解説していきたいと思います。

界面活性剤が汚れを落とす仕組み

界面活性剤が両親媒性分子で、界面に分子膜を作ることは分かりました。

ではどのような仕組みで汚れを落としているのでしょうか。

モノマーとミセル

界面活性剤が汚れを落とす仕組みを理解するためには、モノマーとミセルを知る必要があります。

界面活性剤は分子膜として水面をおおいますが、すべての界面活性剤が水面に並べるわけではありません。並べなかった界面活性剤は水中に潜っていきます。

この行き場を失った界面活性剤をモノマーといいます。

モノマー

そしてそのモノマーたちが、お互いにくっついてできるのがミセルです。

このときモノマーたちは、疎水性の部分を内側にしてくっついていきます。疎水性の部分は水から離れる性質があるため、このような形でミセルになるわけです。

ミセル

洗濯水などの界面活性剤を入れた水の中は、これらモノマーやミセルが大量に発生している状態となっています。

モノマーとミセルが汚れにくっつき水で流す

水中に発生したモノマーやミセルは、どのように汚れを落とすのでしょうか。

まずはモノマーが汚れを落とす仕組みを解説します。

モノマーの疎水性部分は、油汚れや皮脂汚れにくっついて汚れを捕まえます。そして、もう一方の親水性部分の働きで水のほうへ引っ張り汚れを流して落としてくれるのです。

モノマーが汚れを落とす

次にミセルが汚れを落とす仕組みはを解説します。

ミセルは、内側の疎水性部分に汚れを取り込みます。ミセルの外側は親水性ですので、汚れを包んだまま、水とともに流れ落ちていきます。

ミセルが汚れを落とす

このように、界面活性剤が汚れを落とす仕組みには、モノマーとミセルが大きな役割を果たします。ということは、モノマーやミセルが多ければ汚れ落ちも良くなるということです。

モノマーやミセルを十分に生じさせるには、水中の洗剤の濃度が重要になってきます。使用量の目安にしたがって洗剤を使えば理想的な濃度になり、洗浄力を存分に発揮させることができるでしょう。

まとめ

界面活性剤は、多くの洗剤に入っている重要な成分です。

汚れを落とすメカニズムを知れば、日々のお掃除も少し楽しくなると思います。

ぜひ、ご参考に!

おすすめ記事

次の記事も役に立ちますので、ぜひ読んでみてください。

→ 界面活性剤の種類を使用例を紹介しています。

スポンサーリンク